はじめての金ペンはどれがいい?日本製 万年筆(エントリーモデル)の比較
記事公開日:2024年12月3日
ペン先(※): オリジナル※ : メーカーオリジナルのペン先
万年筆の使い方にも慣れ、万年筆の楽しさに気づいた時、多くの人が悩むのが「はじめての金ペンはどれにすればいいの?」というもの。
多くの日本製品の品質は世界トップクラス。万年筆も世界でトップクラスの品質です。
そんな日本が誇る日本三大万年筆メーカーの下記のエントリークラスの万年筆を比較しました。
- パイロット カスタムヘリテイジ91
- セーラー万年筆 プロフィットライト
- プラチナ万年筆 #3776 センチュリー
世界的な物価高騰が進む中、万年筆もその影響を受け、金ペンは1万円では手に入らない時代になってしまいました。
安い買い物ではないので、はじめての金ペン選びで失敗したくない人の参考になればと思います。
価格だけで決めるものではありませんが、セーラー万年筆 プロフィットライトが頭ひとつ抜けた価格設定です。
インクフロー、書き味も3社の中で中間的位置づけなので プロフィットライトがはじめての金ペンには合っている 個人的には思っています(2024年12月現在)。
■ 日本製 金ペン エントリーモデル の違い・特徴
日本製 万年筆(エントリーモデル)の比較
万年筆というと「黒 × ゴールド」の色使い(通称、仏壇カラー)が王道とされますが、個人的に「黒 × シルバー」色使いが好きなのでこの3本を掲載しています。
価格は2024年12月時点
カスタムヘリテイジ91 | プロフィットライト | #3776 センチュリー | |
金額(税別) | 20,000円 | 12,000円 | 20,000円 |
下の画像は上から
- パイロット カスタムヘリテイジ91
- セーラー万年筆 プロフィットライト
- プラチナ万年筆 #3776 センチュリー
となります。
以降、パイロット カスタムヘリテイジ91は「カスタムヘリテイジ」、セーラー万年筆 プロフィットライトは「プロフィットライト」、プラチナ万年筆 #3776 センチュリーは「センチュリー」と記載します。
エントリーモデルの比較
パイロットのエントリークラスの王道といえば「カスタム74」だと思います。しかし、色以外にクリップの形状が個人的に好きではありません。「雨垂れクリップ」といわれ、技術的に難しいらしいのですがどうも好きになれません。
プロフィットライト、センチュリー(※)は金属部分がゴールド仕上げのものもあります。
※:ゴールド仕上げの方が3,000円安いです
下記の画像がパイロットの「雨垂れクリップ」。
カスタム74シリーズにしかないペン先の場合のみ(例えば、フォルカン15号)、カスタム74シリーズを購入しています。
カートリッジ/コンバーター両用式
すべてカートリッジ/コンバーター両用式です。
カスタムヘリテイジとプロフィットライトはコンバーターは付属していないので別途購入が必要です。
コンバーターは別記事がありますのでそちらをご覧ください。
カートリッジは別記事がありますのでそちらをご覧ください。
特徴
各社の特徴を簡単に紹介。
パイロット
日本最大の筆記具メーカー。
書き心地が滑らかで、幅広い層に対応する製品ラインナップしています。
万年筆以外だと、消せるボールペンのフリクションボール、少ない筆圧で書くことのできる低粘度インクのアクロボールなどがあります。
3社の中で一番インクフローがよく、サラサラ書くことができます。ただ、インクフローがいいので紙を選ぶ必要があるのも事実。
セーラー万年筆
日本製に限らず、世界中のほとんどの金ペンは14金、18金の中、21金が採用されたモデルも多いです。
職人が丁寧に研ぎだした刀のような形状の「長刀研ぎ」は高額ではありますが、万年筆が好きになるといつかは手にしたいと思わせる人気商品があります。
21金は14金、18金と比較した場合、素材としては柔らかいですが、セーラー万年筆のペン先はしっかりとコシがあり非常に書きやすいです。気になる方はチェックしてみてください。
3社の中でインクフロー、書き味ともに中間的な位置づけです。
プラチナ万年筆
長期間インクの乾燥を防ぐ「スリップシール機構」が特徴です。
スリップシール機構の解説は公式サイトをご覧ください(プラチナ万年筆 公式サイトはこちら)
今回、掲載しているセンチュリーはエントリーモデルでありながらプラチナ万年筆のフラッグシップモデルでもあります。
プラチナ万年筆は3社の中で一番書きごたえを感じます。日本語特有のトメ、ハネ、ハライを美しく表現するためにそのようにしているといわれています。
細字に定評があり、他社にはない「UEF(超極細字)」が存在します。
3社の中でインクフローが渋めで、筆記抵抗を一番強く感じます。
サイズ・重さ
まず、それぞれのサイズ・重さから。
計測箇所 | カスタムヘリテイジ | プロフィットライト | センチュリー |
全長 | 137mm | 135mm | 140mm |
キャップをはずした長さ | 123mm | 117mm | 120mm |
キャップポストした長さ | 155mm | 148mm | 154mm |
胴軸最大径 | 12.2mm | 12.1mm | 13.2mm |
キャップ最大径 (クリップは除く) | 14.6mm | 14.8mm | 16.4mm |
計量パーツ | カスタムヘリテイジ | プロフィットライト | センチュリー |
全体 | 17.1g | 16.9g | 20.3g |
軸部のみ | 9.0g | 9.7g | 9.6g |
キャップのみ | 8.1g | 7.2g | 10.7g |
画像での比較
以降、画像の番号は下記の順です。
① カスタムヘリテイジ
② プロフィットライト
③ センチュリー
収納時の長さ
そこまで差はありません。
キャップをはずした長さ
カスタムヘリテイジとセンチュリーはキャップを外した状態でも問題ありませんが、プロフィットライトは手の大きい人だと、小さい印象を受けます。
キャップポストした長さ
プロフィットライトはキャップポストして使った方がしっくりきます。センチュリーはキャップが重いのでキャップポストすると高重心になります。
ペン先
左から、カスタムヘリテイジ、プロフィットライト、センチュリー。3社すべて14金です。
カスタムヘリテイジとプロフィットライトはほぼ同じサイズですが、センチュリーが頭ひとつ抜けた大きさです。
字幅・書き味
字幅、書き味です。
字幅
字幅は各社モデルによって若干異なります。下の表はこの記事で取り上げている3本の字幅です。
各社の字幅のサンプルサイトを掲載しているので合わせてご覧ください
カスタムヘリテイジ | プロフィットライト | センチュリー | |
字幅 | EF(極細字) F(細字) SF(ソフト細字) FM(中細字) SFM(ソフト中細字) M(中字) SM(ソフト中字) B(太字) BB(極太字) | EF(極細字) F(細字字) MF(中細字) M(中字) B(太字) Z(ズーム)※ 1 MS(ミュージック)※ 1 | UEF(超極細字) EF(極細字) F(細字) SF(細軟時) M(中字) B(太字) C(極太字) |
※ 1:プラス2,000円です
各社の字幅サンプルは公式サイトを参照ください。
パイロット公式サイトはこちら、セーラー万年筆公式サイトはこちら、プラチナ万年筆公式サイトはこちら
書き味
書き味を表現する言葉としていろいろな表現方法があります。
個人的に下記の表現かなと思っています(硬さの表現は除きます)。ヌラヌラ が一番なめらかで カリカリ がその逆です。
「スラスラ」、「サラサラ」はあまり変わらないかな…。
ヌラヌラ > スラスラ > サラサラ > サリサリ > シャリシャリ > カリカリ
なめらかさを比較した場合、好み、感じ方は異なりますが、個人的には下記の順に感じます。
パイロットが一番なめらかで、プラチナ万年筆が一番書きごたえがある。セーラー万年筆は中間。繰り返しになりますがこれは好みの要素が強いです。
パイロット > セーラー万年筆 > プラチナ万年筆
まとめ【はじめての金ペンはどれがいい?】
ほとんどの人が悩むのが「はじめての金ペンはどれにすればいいの?」というもの。
日本が誇る、日本三大万年筆メーカーの金ペンエントリーモデルを比較しました。
日本の万年筆の品質は世界でもトップクラスです。その日本三大万年筆メーカーの中から選んでおけばまず間違いありません。
そこで、万年筆の楽しさを再認識して、さらに上のクラスのもの、または海外製(※)のものにも広げていくと、万年筆ライフが素敵なものになることは間違いありません。
※:日本製に比べると海外製の万年筆は軸の色や装飾がキレイなものが多い傾向にあります
価格だけで決めるものではありませんが、プロフィットライトが頭ひとつ抜けた価格設定です。
インクフロー、書き味も3社の中で中間的位置づけなのでプロフィットライトがはじめての金ペンには合っている個人的には思っています(2024年12月現在)。
決して安い買い物ではないので、はじめての金ペン選びで失敗したくない人の参考になればと思います。
カスタムヘリテイジ91
セーラー万年筆 プロフィットライト シルバートリム
プラチナ万年筆 #3776 センチュリー ロジウムフィニッシュ
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