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比較|BOCKニブ 素材による書き味(硬さ)の違い(BOCK 250(6号/#6)14金、チタン、ステンレス)

紙とペンのブログ管理者
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記事公開日:2023年3月27日

現在、万年筆のペン先に使われる主な素材として 2つあります。

1つ目は ”ステンレス製”、”スチール製” いわゆる ”鉄ペン”(※1)、2つ目は ”金製” の ”金ペン”(※2) です。

最近では ”チタン製”、”プラチナ製(※3)” のペン先もあります。

※ 1:この記事のでは鉄ペンは ステンレス製 とします
※ 2:14金、18金が多いですが、その他21金、めずらしいものでは23金も販売されています(23金は柔らか過ぎないんでしょうか…
※ 3:プラチナ(プラチナ950)のペン先も販売されていて気になっているのですが、使ったことがない素材、かつ非常に柔らかい素材のようなのでお迎えするか悩んでいます。将来的には手にしてみたいと思っています

「金ペン = 柔らかい」、「鉄ペン = 硬い」というイメージがあるかもしれません。
確かに多くの万年筆は金ペンの方が鉄ペンより柔らかく感じる傾向(感じるものが多い)にあると思います。
しかし、たまたま比較した金ペンが鉄ペンよりも柔らかい形のペン先だった可能性もあります。

本来、書き味(※4)は ”素材そのものの硬さ” よりも ”ペン先の形状” の影響が大きいです。
※ 4:この記事での ”書き味” は筆記の際、”硬く感じるか”、”柔らかく感じるか” を指します

逆にいうと ”同じ形状”、”同じ大きさ” のペン先であれば、素材が異なれば書き味が違うはず、数値にあらわれるはずです。

そこで、同じ形状のペン先が素材によって ”同程度の線” を書くには筆圧にどの程度差があるのか を調査しました。

BOCK 250(6号/#6)素材による柔らかさの違い

BOCK 250(6号/#6)のペン先の比較したのは 3種類の素材のペン先です。
素材による必要な筆圧の違いを調査しました。

プチ情報

BOCK社のペン先サイズは 060、076、180、250、380 と様々なサイズがあります。

FPnibsのサイト にありますので参考にしてください

2023年6月14日 追記
FPnibsのペン先の金額が日本円表記に変更されていました。接続場所で日本と判断され表示を切り替えていると思われますが、日本からでも買いやすいようにということでしょうか。個人的にちょっと感動しました。

この記事掲載の BOCK 250 は「カヴェコ オリジナル 万年筆250」、「カヴェコ 万年筆 スプラ」等で使用可能です(ネジ式でペン先ユニットごと交換可能)。
金製のペン先もFPnibsで購入した方がカスタマイズもできるので、選択肢が増えて楽しいです。

(私の中で)有名なところでBOCK社製ペン先の例を下の一覧に記載します。

サイズ主な商品
060・カヴェコ スペシャル
・カヴェコ スポーツ
・IWI 万年筆 エッセンシャル(※1)
076レオナルド ノスタルジア
250・カヴェコ オリジナル 万年筆250
カヴェコ 万年筆 スプラ
レオナルド モーメントゼロ
・MAJOHN(旧:MOONMAN) M800
3952ボンアルテック(※2)
Asvine P36
Asvine P50

※ 1:すべての商品が 060サイズだと思われます
※ 2:ほとんどの商品が 250サイズですが、一部 180サイズ

リンクになっているものは当ブログ内でレビューしているものです。クリックすることで該当の記事へ飛ぶことができるのでそちらもご覧ください。

注意事項

実際に比較していますが、機械等での正確な計測値 ではない、”同程度の線” と記載しているくらいです。当ブログの他の記事以上にエンタメ性が強い記事としてお楽しみください。

注意点

エンタメ要素の強い記事としてお楽しみください

正直、ニッチな情報過ぎて、読んでいただけるかも不明です。

3種類のペン先比較

比較したのは下記のBOCK 250(6号/#6)3種類の素材のペン先です。
左から 14金製、チタン製、ステンレス製 です。

すべて字幅は EF字。

14金製

下の画像は14金製のペン先。レオナルドのペン先です。
メーカー独自の設計である可能性もありますが、今回は14金のペン先として使用します。

チタン製

下の画像はチタン製のペン先。FPnibsで購入したものです。

ペン先を購入した際の記事です。

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ステンレス製 その1

ステンレス製のペン先はバイカラーのもの、ピンクローズのものも流通していますが、今回はシルバー1色で何も刻印のない物です。こちらもFPnibsで購入したものです。

ペン先を購入した際の記事です。

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ステンレス製 その2

鉄ペンなのですがピンクローズのペン先が上記のシルバー1色のペン先より若干柔らかい気がしています。

ローズゴールドはFPnibsでは販売 していないのが残念です。 を開始したようです。ただし、BOCKの刻印がないものなので同じ硬さかは不明です。(2023年4月14日 修正)

金属の硬さ

ペン先の前に予備知識として一般的な金属の硬さを見ていきましょう。
一般的な素材の硬さは不要と思われる方は こちら(ペン先の比較へ移動します)をクリックしてください。

一般的な金属の硬さ

金属は「硬度(Hv)」(※1)という単位で硬さを表します。
※ 1:硬さを表す単位で ”ビッカース硬さ” という

金 の硬さは?

金の硬さは、ビッカース硬度(HV)で表され、約22~70HVです。金は純度が低くなればなるほど硬くなるのが特徴で、たとえば18金の硬さは約120~160HV、24金は約22HVです。
また、鉱物の硬さを表すモース硬度では、純金は2.5で、人間の歯は5です。地球上で最も硬い物質はダイヤモンドで、モース硬度は10です。
金の硬さは、人の爪で傷はつくことはあっても削れることはないほどの硬さと言われています(※2)。

※ 2:Google SearchLab|AI より引用

チタン、ステンレス の硬さは?

純チタンが130Hv-230Hv、チタン64合金が320Hv以下、ステンレス304は200Hv以下です(※3)。

※ 3:金属加工会社 株式会社オーファ より引用

ビッカース硬さの数値が大きいほど硬くなります。しかし、数値が2倍になったからといっても、硬さが2倍ということではありません。

一覧にすると下記の表のようになります。

素材硬度(Hv)
14金120~170
純チタン130~230
ステンレス304200以下

14金、純チタンには「~」、ステンレスには「以下」とバラつきがあって結局のところわかりません。

素材の硬さがわかっても…

(さらに)一般的な金属の硬度がわかったところで、実際にBOCK社製のペン先で使用されている金属が ”どの程度の純度のもの”、”何がどの程度配合されているか” はわかりません。

上記表の数値のステンレスは「ステンレス304」ですが、ステンレスには様々な規格(例えばJIS規格では65規格)があるようで、輪をかけてわかりません…。

書き比べ

素材の純度、規格がわからないので実際に書き比べるしかありません。

筆記サンプル

下の画像は筆記サンプル。
上から 14金製、チタン製、ステンレス製 です。

インクは パイロット ブルーブラック。
紙はライフ ノーブルノート 5mm 方眼です。

ほとんど違いがありません。

というのも 違いが少なくなるように筆記しています
文字の見た目には違いはありませんが、筆圧が結構、異なっています。

私は右利きなので左から右に筆記しています。
右側の万年筆筆記の際よく用いられる書き方の左上から右下の線(斜めの線)を筆記する際に最も力を入れて筆記しています。

その線の太さと同等の太さに筆記するにはどの態度の筆圧をかける必要があるかを計測しました。

計測方法

計測方法として、デジタルスケールに紙を貼り付け、筆記時の筆圧(重さ)を計測しました。
下の画像のようにして筆記して計測。

Yahoo知恵袋、複数の方のブログ等で紹介されていますが、男性の平均的な筆圧150g程度 だそうです。

線の太さを下の画像のように書いた時の筆圧を比較しました。
線の太さが ”1.0mm” になるように意識しました。
サンプル画像は定規の厚みで若干細く見えるかもしれません。

前提条件として下記があります。

 目視なので必ずしも毎回一定ではない(※1)

 毎回、同じ筆圧で筆記するのは不可能(※2)

 紙、インクによって差が生じる(※3)

※ 1:スケールのメモリ、線の幅ともに厳密に測定していません。厳密に行うのであれば、ビデオ撮影をしてスケールのメモリを確認する、線の太さは0.01mm単位で計測する等考えられますがあくまで目視確認です
※ 2:機械ではないので同じ力で書き続けることはできません。多少のズレはご了承ください
※ 3:そこまで大きな差にはならないと思いますが、もし、私以外の方が試しても同じ数値になるかは不明です

下の表が太い線(1.0mmの線)を書いた時の筆圧です。”グッ” と力を入れた時が最大の重さと考えてください。

素材筆圧(単位:g)
14金250~300
チタン350~400
ステンレス その1500~550
ステンレス その2350~400

それぞれ複数回試しましたが、ほぼ同じような値でした。

補足情報

補足情報 ①

下記条件で0.5mmシャープペンの芯が折れる筆圧がおよそ 450g~500g です。
■ 日本メーカー製 HB
2mm出した状態
■ シャープペンを45度に傾けて筆記

さらに
下記条件で0.5mmシャープペンの芯が折れる筆圧がおよそ 200g~250g です。■ 日本メーカー製 HB
3mm出した状態
■ シャープペンを45度に傾けて筆記

メーカー、グレード等で多少変わる可能性があるのでおおよその値です。
日常生活での500gというとそこまで大きな値ではないかもしれませんが、筆圧に限定するとかなり大きな値です。

補足情報 ②

少し前に話題になったパイロット ライティブで同様のことを行おうとしました(※)。
しかし、ペン先が小さいため ”1.0mm” の線を書くことはできませんでした。
600g程度で最も太い線を書くことができましたが、0.7mm~0.8mm が限界でした。

※:パイロット ライティブは F字 が一番細い字幅です。海外製ペン先は日本製と比べて 1段階程度字幅が太いといわれる のでちょうどいいと考えました。試したのは F字 です。

書き比べた感想

これまで使用してきた各(素材ごと)ペン先ですが、改めて比べてみると違いに気づきます。
数値で見えるとその違いが一層引き立ちます。

14金製

14金が一番小さな力で太い線を書くことができました。
実際にあまり力を入れずとも太い線を書くことができます。

これが世間一般に ”柔らかい” といわれる要因でしょう。
逆に筆圧が高い人には扱いが難しい(コントロールが難しい)ということにもなります。
また、金製ペン先は柔らかいためにプラスして力を入れると簡単にペン先が開き、インクスキップします。

チタン製

うまく表現できないのですが、筆記の際、金ペンよりもフワッとしたというか、しなやかな印象を受けます。粘りがあるというかなんというか…。理由は不明です。
JOWO社の6号14金のペン先よりも柔らかい書き味のように感じました。

ペン先に力が入り、その後、力を抜いた時の戻る力等(弾性)も影響すると思われますが、そのあたりの因果関係は現段階ではわかりません。

金製ペン先と異なる点として、さらに力を入れてもペン先が金ペンほど開くことはなく、インクスキップするまで開くことはありません。
ペン先を壊すつもりで力を入れ続ければインクスキップするかもしれませんが、さすがにそこまでは試していません。


最近、私の ”お気に入り” ということと、あまりチタンニブは情報が少なく、希少性が若干高いということでプラスのバイアスがかかっている可能性もあります。
”もっと硬そう” という思い込みがあったためそのギャップに踊らされている可能性もあります。

ステンレス製 その1

相当意識をして力を入れないと太い線が書けません。
”これ以上力を入れたら曲がってしまう(壊れてしまう)のでは?” と思ってしまうほどです。

チタンと同様にさらに力を入れてもペン先が大きく開くことはなく、インクスキップするまで開くことはありません。
チタン同様、ペン先を壊すつもりで力を入れ続ければインクスキップするかもしれませんが、さすがにこちらも試していません。

逆にいうと、できるだけ同じ太さの線が書きたいという人にはステンレス製のペン先の方が向いていますね。
まったく同じ字幅が書きたいのであれば万年筆でなくてもいい、むしろ万年筆は除外すべきですが…。

そもそも、フレックスニブではない、ましてやペン先の中で最も細い EF字 なので ”太く書く” ものとして使うものではないですね。

ステンレス製 その2

同程度の価格にも関わらず、「ステンレス その1」と硬さが異なりました。
チタン製と同程度の力で太い線の筆記が可能です。

異なる点としては、グッと力を入れるとこちらのペン先はインクスキップするまで開きます。

ちなみにこちらのペン先は台湾メーカー、3952ボンアルテックの万年筆に初期設定されていたペン先です。

注意喚起

念のため、注意喚起です。

調査後、ステンレスのペン先が反り返っている(ペン先とペン芯の間に若干隙間ができた?)ようにも見えます。
ただ、調査前の状態を詳細に確認していなかったのでもともと隙間があった可能性もありますし、個体差の可能性もあります。
いずれにしても過度の負荷をかけるべきではないことは明白です。

注意

過度な筆圧はペン先を壊す可能性がある

調査の際、ステンレス製のペン先では最大で 700g~800g の負荷をかけていました。

まとめ【素材による書き味(硬さ)の違い】

必要な筆圧は想像していた以上に差が出ました。
14金とステンレスでは太い線を書くには 2倍近くの筆圧が必要でした。

金ペンが ”柔らかい” と感じるいうのは間違ってはなさそうです(ただし、同じペン先の形状、同じ大きさで金とステンレスを比較する という前提)。

通常のニブの場合、今回、私が試したように意識的に太くして使用するという機会は少ない思いますし、ここまで(負荷をかけ酷使して使う人)試す人はそこまでいないと思います。
いないとは思いますが何かの参考になればと思います。
今後はプラチナ950製も掲載していきたいと考えています(値段が高くて二の足を踏んでいます…。23金のペン先も同様です)。

もっといい 書き味の数値化(見える化)ができないか…。
なかなかなさそうですが…。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

”硬い書き味”、”柔らかい書き味” というけれどわからないですよね。
もっと簡単に、わかりやすく 数値化、見える化 できればいいのですが難しいです。

試し書きすればいいだけ かもしれませんが、BOCK社製のペン先単体で買う人もそれほど多くないでしょうし…(私は買っていますが)。


冒頭でも記載しましたが、機械等での正確な計測値 ではない、”同程度の線” と記載しているくらいです。他の記事以上にエンタメ性が強い記事としてお楽しみください。

注意点

エンタメ要素が強い記事としてお楽しみください

最近のお気に入り(チタン製ペン先)

個人的には、最近のお気に入りのチタン製ペン先です。ほどよく柔らかな書き味で気に入っています。
金ペンの半分ほどの価格です。価格だけではありませんが、むしろ金ペンよりもいいのでは?とさえ思っています。

上でも記載しましたがプラスのバイアスがかかっている可能性もあります。
しかし、現段階ではチタンニブは非常に書きやすいと思っています。

ペン先を購入した際の記事です。

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文房具(特に筆記具)が好きなサラリーマン。万年筆は141本(2024年12月現在)・ボールペンも約100本・シャープペンは約50本、木軸ペン、その他筆記具(フェルトペン、蛍光ペン 等々)も数え切れないほど購入しています。最近は海外のお店から万年筆のペン先を購入し、カスタマイズを楽しんでいます。壊してしまった万年筆が何本もあります。

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